代表あいさつ GREETING

「ウェブデザインは数年間見てきたから解るけど、ファッションデザインってどうするんだ?」
周りにいたグラフィックデザインをしている人に片っ端から、「興味があったらリングピローのデザインを考えてみて!」と声をかけた。
数人からラフスケッチが出てきたものの、残念なことにピンとくるものは一つもなかった。
「そうなんだ! グラフィックデザインとファッションデザインは違うんだ!」
ようやくそれに気付いた。
そんなレベルだった。
僕は途方に暮れた。
「このままでは、これまで投資してきたものが、全てパァになってしまう。」
来る日も来る日も考えたが、なにも浮かばない。
情けなかった。

「そういえば、社会人になりたての時にも同じことがあったなぁ。」
とあるメーカーに勤務していた時、製造工程の不良品が暴れていて、一日に何回か不良率が跳ね上がる。
その工程の技術担当だった僕は、毎週行われるミーティングで報告をしなくてはいけない。
苦痛だった。
「この不良が起こる原因について、色々調べましたが見つかりません。もう無理だと思います。」
そう報告すると、たまたま出席していた色黒で強面のM部長が重い口を開けた。
「齋藤君は無数にある要因の全てを調べたのかな? 技術者であれば、「出来ない」という言葉は、全て調べてから使うものだよ!」と。

「はっ!」とした。
僕はそれまで、不良になった素材の周辺しか調査していなかったのだ。
それともう一つ、「いつか自然と不良が収まってくれるんじゃないか」という甘えた自分がいたのだ。
「僕がやるしかないんだ! 無数の要因を調べることは無理でも、一つの「できる」を見つけるんだ!」
そう決意し、範囲を拡げて調査を続け、数週間後になんとかその原因を見つけることができた。

「解決方法は絶対ある! その一つが見つかっていないだけ!」
それを信じて、リングピローの商品開発に再び気合を注入した。
暫くして、僕に一つのアイデアが舞い降りた。
「漠然と商品開発をするのではなく、テーマやストーリーを決めてからの方が進めやすいんじゃないかな?」

早速、仲間に伝えてみた。
「最初の商品として四種類くらい作りたい。開発する時に、そのシリーズのコンセプトやストーリーがあった方が進めやすいと思うんだ。そのストーリーに相応しい神話や物語の様なものって知らないかな?」
「例えば春夏秋冬の星座の物語とか……。」
参加していたメンバーがクスクス笑っている。
四十過ぎのオッサンの口から「星座の物語」なんて出てくると思っていなかったからだ。
「星座の物語って、悲劇が多いんですよね~~~!」と、Tさんから手厳しい意見も飛び出した。

でも、それがきっかけになった。
メンバーからいろんなアイデアが出てきて、「春夏秋冬の女神」という一つの方向性が定まった。
方向性が定まると、開発作業はスムーズに進みだした。
時間はかかったが、なんとか代表作となる四つの商品を完成させることができた。
大きな壁を一つ越えた感じがした。

代表作に続いて、廉価版を商品ラインナップに追加し、ネットショップを構築することにした。
2009年3月、ショップオープン。
ところが……注文が入らない。1ヶ月経っても2ヶ月経っても売れない。
ようやく最初の一つが売れたが、オープンから丸3ヶ月という日だった。
2つ目の注文が入ったのが、その1週間後。
「何かがおかしい!」
「うちの商品は、確かに競合より値段は高い。廉価版でも4倍くらいだ。」
「でも、もっと高い価格で販売しているところもある。」
「値段も要因の一つだが、他にもっと大きな原因があるはず。」

そんな時、一件の問い合わせが入った。
「手作りできるキットの様なものはないのでしょうか?」
そう言えば、先日お買い上げいただいたお客様アンケートにも、
「本当は手作りしてプレゼントしたかったけど、御社に素敵で気に入ったリングピローがあったので購入しました。」とあった。

「もしかしたら、多くのお客様が求めているのは「手作りキット」なのでは?」
急遽、廉価版商品の手作りキットを開発し、ネットに掲載した。
一気に売れ出した。

一ヶ月数万円の売上が10倍になり、9割以上がキット商品の注文だった。
リングピローの商品を作ること、スタイルをどうするかばかり考えていて、お客様の真のニーズをつかんでいなかった。
お客様はリングピローをプレゼントしたいのではなく、心を込めて手作りした想いをプレゼントしたかったのだ。
「お客様の声を聞け!」という言葉は知っていた。
お客様の声の奥にある「真のニーズ」を見つけて応えていく。
これこそが最も重要なことだと気付かされる出来事になった。

数十万円の売上が見込める様になり、広告を使って集客を始めた。
弊社の商品は原価率を抑えていたので、広告を出しても利益は出ていたが、費用はかさむ一方だった。
そんな時、電話の呼び出し音が鳴った。
SEO対策業者だった。
いつもは丁寧にお断りするのだが、この時は何故か信用できると思えた。
価格もかなりリーズナブルだったので、ダメ元でお願いしてみることにした。

すると、2ヶ月も経たないうちに、ビッグキーワードの「リングピロー」で9位に上がった。
月商はなんと、百万円を超したのである。
集客コストを抑えて売り上げを上げられたので、利益を大幅に増やすことができた。

ところがこの話には続きがある。

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